Interview00
THE GROWTH、始動します
THE GROWTHのCASE INVERVIEW。まずは、当人2人でTHE GROWTH発足の経緯などを話しました。聞き手は、THE GROWTHの広報もお手伝いしてくれている中澤さんです。
newmo株式会社 PR/政策企画
中澤理香
Rika Nakazawa
ミクシィ、Yelpを経てメルカリでPRの立ち上げから上場以降まで携わり、マネージャーを務める。退職後、フリーランスを経て、2020年10月より10Xに入社、2021年より取締役CCO。退任後、2024年newmoに参画。
THE GROWTHはどんな会社?
中澤
あらためまして、今日はよろしくお願いします!さっそくですがTHE GROWTHはどういう会社ですか?
山代
THE GROWTHを一言で表現すると「スタートアップ企業に特化した、ブランディングとグロース支援の伴走チーム」になります。経営チームと伴走しながら、戦略から実行まで責任を持ちながら事業グロースを実現していきます。これは、他社にはない特徴かなと思っていて、マーケティングではなく、グロースと呼んでいるのはこういう想いからです。あと、固定メンバーは2人ですが、りっちゃ(中澤)のような専門性のある外部のメンバーとも提携し、必要に応じてチームを組んで支援していきます。
北尾
法人としては立ち上がったところですが、山代さんと2人の座組は長くやってきているので、支援先は既に20社強になります。濃淡はありながら、長く伴走させてもらっているのも特徴の1つかと思います。
中澤
支援先企業はどのような会社ですか?
北尾
スタートアップ企業です。そこに特化しています。
山代
支援先の現状は、業態はtoBとtoCで半々くらい。規模は様々ですが、シリーズA以降が多いですね。PMFがいったん終わって、資金調達が完了し、予算をマーケに使っていこうというようなタイミングですね。
中澤
やはり基本は大きくマーケ投資をしよう!というタイミングで呼ばれるんですか?
山代
いや、そうとは限りません。「スタートアップのCMをつくる会社」と思われると、それはちょっとちがう感じです。最終的に、マスマーケのアウトプットに落ちることが多いですが、まずは、プロダクトの収益性、リテンションの部分、それからtoBの場合には営業体制が整っていない状態でマスマーケをやっても仕方ないので、そこを拡充させたり。そもそもOKRの整備やKPIの設定・トラッキングやデジタルファンダメンタル(デジタルマーケ、SEO、リスティングなど)を整えるところから始めることが多いです。これは伴走型だからこそできることだと思っています。
中澤
役割としては、COOに近いんですかね?
山代
そうですね。我々は事業グロースに責任を持ちたいと思っています。マーケティングはそれを達成するための手段の一つに過ぎません。経営とマーケティングとの結節点として事業成長を生み出す部分が価値なので、いわゆるマーケティング・コンサルティングの会社とは異なる立ち位置であることは強調したいです。
スタートアップに特化する理由
中澤
なぜ、支援対象をスタートアップに特化させたのですか?
北尾
理由はそれぞれにちがいます。自分の場合は、社長と直接、仕事をしたいという思いが以前から強くあります。社長と直接できるとなると、必然的にスタートアップになってきます。
中澤
なぜ、社長と直接やりたいのですか?
北尾
自分はもともと電通にいたのですが、仕事はほとんどマーケ部長と相対します。それを否定はしませんが、マーケのある側面だけを切り取った仕事よりも、社長が見ている会社全体の方向決定をするようなダイナミズムの仕事に心惹かれてしまった感じです。
中澤
山代さんは、なぜスタートアップに特化しようと?
山代
想いの部分だと、メルカリで上場前後を体験した時のインパクトが強烈な印象として残っていて、あの経験をもう1度じゃないですが、次のメルカリ級を生み出す支援をしたいです。
もう1つ、専門性の部分だと、日本のマーケティングはこの10年くらいP&Gの諸先輩方がさまざまに押し上げてきて、基本ナレッジのレベルは相当あがったと思います。マーケティング後進国と言われてきた日本においてはとてもよいことです。
ただ、スタートアップのマーケティングとなると、同じマーケティングでも、球技で例えるならサッカーと野球ぐらいの違いがあるなと感じました。P&Gからスタートアップのメルカリに転職して、それまでやってきたことや考え方が全然通用せず苦労したので、その両方を経験した身として、これを活かしていきたいなと思ったんですね。
北尾
このように理由は違えど2人のスタートアップを支援したいという想いが一致し、THE GROWTHが生まれました。
山代
スタートアップ支援にフォーカスする意思決定をしてから、あらためて周囲を見渡すとスタートアップ支援に特化しているプレイヤーっていないんですよね。ここにこだわっていくことで独自性を築くのはビジネス観点でも良いんじゃないかなと思いました。
コンサルや代理店とのちがい
中澤
「経営者に伴走する」と言っているプレイヤーは、他にもいると思うのですがコンサルや代理店とのちがいは何ですか?
山代
まずは、やっている数が圧倒的です。スタートアップのグロース支援という意味において、とにかく打席に立ってバットを振っています。そこの経験値は強いと思います。
中澤
確かに、経験談をたくさん持っているという強さはありますよね。下手に空中戦的なことをやるより、実績がものを言う場面は多そうです。
山代
スタンスの面でも外部の支援会社という感覚ではなく、経営チームとワンチームで戦っています。僕は事業会社でのマーケティング/グロースの経験しかないので、そもそもコンサル的な感覚はありません。
ただ、はじめて社外の立場から見ることで、中にいては気が付かなかったであろう冷静な視点や、複数社やっていることでの他社との比較の視点を提供できるのは価値だと言うことにも気がつきました。
中澤
内と外の両サイドの視点があるのは、強みになりそうですね。
山代
内側にいると、例えば、上司の意向や、会社のポリティクス、チームの雰囲気、過去の発言などを自然と気にしてしまう。社外の視点だからこそ、事業成長に直接の関係がない要素は排除して、グロースに繋がる点のみにフォーカスできると。「フレンドリーアウトサイダー」のスタンスです。
北尾
たしかに伴走支援を語るプレイヤーは他にもいるかも知れませんが、実は伴走型でクリエイティブを作るのは珍しいと思います。例えば、CMを作ろうと思うと第一歩は代理店や外部クリエイターへのオリエンになりますが、実はオリエンをちゃんと作るのってものすごく難しい。我々のやり方だと、オリエンは不要というか、オリエンを作るための議論の部分をいっしょにやります。しっかり時間をかけて、お互いが納得できる前提が出来上がれば、あとは、自分はそれをもっとも効果的に伝える企画を考えるだけです。
山代
代理店とのちがいでは、マーケティング費用のマージン型ではなく、伴走型として固定フィーモデルで報酬をいただいていることもあげられます。2022年に市況が悪くなった際には、大規模なマーケティング投資を大胆に止めたことを評価してもらいました。結果、ランウェイが伸びて生き延びることができ、後から経営者の方に感謝されましたね。使うべきではないという判断ができることも大きな価値だと考えています。
THE GROWTHの2人の役割分担
中澤
2人の役割分担はどうなっているんですか?
山代
もちろんクリエイティブやブランディングの部分はクリエイティブ・ディレクターである北尾さんが担当するわけですが、多くの部分を2人で共通して担っています。企画の部分も北尾さんに任せきりな訳ではなくて、いっしょにブレストしたり僕もアイディアを出したりする。逆に、細かい戦術やデジマの話も北尾さんが同席して聞いていてくれることに価値があると思っています。
北尾
2人のリソース配分という意味では、一見、非効率かも知れませんが、例えばそんな話の中に企画のヒントが転がっていたり、あとは経営者や経営チームの社風やカラーが見え隠れするんですよね。そこを逃さずに掬い上げることを大切にしています。
中澤
それは何のためにしているのですか?
北尾
例えば、2社の同じようなサービスがあったとして、その2社のCMは同じで良いのか?という議論があります。自分は、仮に切り口が同じであっても、CMのトンマナというか空気感のような部分に、その経営者・会社ならではの空気感を反映させていきたいと思っています。映像の中の言語化できない部分に、それらを込めることで、すっと馴染むその会社らしさのある映像が出来上がります。
中澤
なるほど。いっしょにやっていく相手として、おたがいのリスペクトしているポイントを教えてください。
山代
まず、CD(クリエイティブ・ディレクター)がビジネスを伸ばすことにフォーカスしていることは相当稀有だと思います。今までたくさんのCDに接してきましたが、基本、表現をしたい人たちで、その題材としてCMで扱う商材があるという考え方が多いです。その延長線上に広告賞があるとか考えている人もいらっしゃいますし、それがある種、CDの評価基準でもある。
でも、北尾さんは事業を伸ばすためにどういうクリエイティブがあるべきかという順番で考えています。そこにしか興味がない。だからこそ、事業やビジネスモデルへの理解、事業そのものを完全に理解してから、映像を作ろうとしている点がすごいですね。作業効率は悪いと思うのですが、それをやりきっていますね。
北尾
広告賞に応募したことがないことが、売りです(笑)
山代
あとは、仕事が早い!企画するのも、CMを作るのも、あとはSlackのレスもめちゃくちゃ早い。スタートアップのスピード感に完全適応してますよね。結局はスピードがすべてなところがあります。それから、人間的にできた人だなと思います。迷った時には北尾さんの意見を聞いてから決めようかなと思えるんです。我々も支援先を選ぶ際に、事業ポテンシャルよりも起業家の方々を見て受けるかどうかを決めていますが、人物像の見極めについては信頼しています。
北尾
山代さんよりちょっと長く生きていますからね。自分が思う山代さんの凄さは、まず、総合力が高い。あらゆる能力が全体的にハイレベルだし、詳しい。マーケのみならず採用や組織、ファイナンスなど様々な専門家が5人くらい必要な打合せを、1人で対応してばんばん打ち返していくので、どんな相談が来てもだいたい1人でどうにかなってしまいます。
あとは、自分に圧倒的に足りていない部分として突破力が高いです。今日決めないとスケジュール的にまずいけど、調整しなくちゃいけないこと多そうだし今日は無理かな〜という状況で、バシっと意思決定を迫り決めてきてくれる。人に意思決定させるのがうまいし、硬い岸壁もバリバリ砕いて突き進んで行ってくれます。
THE GROWTHの大事にしていること
中澤
THE GROWTHをやるにあたって大事にしていることはありますか?
山代
まずは、スタートアップ領域に特化し続けること。THE GROWTHも平たく言えば、コンサルティング会社なので、予算規模の大きい大企業を担当すれば売上規模は大きくなります。ただ、限られた2人で支援できる社数・時間を100%スタートアップに特化することで、スキルと経験値がどんどん磨かれていく。これが、日本のスタートアップのエコシステムの活性化に繋がると信じているので、特化し続けたいと考えています。
その中で、様々な専門性をもっている人たちとも有機的に連携していきたいと考えています。現状も10名以上の様々なチームを組みながらやっていますが、この輪がひろがっていくことで、エコシステムの強化につながっていくので、仲間も募集しています(笑)
北尾
自分は、起業家との信頼関係ですね。もちろんお互いにビジネスでやっていますが、目的は1つ、支援先企業のグロースです。ここをぶらさなければ、意見がぶつかり合うことも厭わないし、それが信頼関係につながっていく。
特にクリエイティブ制作の場面では、前提がしっかり握れていることもあって表現や演出の部分は信頼して任せてもらっていることが多いです。そうなると、撮影や編集の現場ではチェック機構が少なくなり、プロのスタッフたちが活き活きとどんどん才能を発揮できる。
山代
あとは、仲良くやることじゃないですかね。コンビの価値が大事なので、緊張感も持ちながら、仲良くやれればと思っています。
中澤
最終的に、日本のスタートアップエコシステムの中でどうなっていきたいですか?
山代
足元1-2年のグロースを推進していくところは、戦略から実行まで、様々なビジネスにおいても支援していける体制ができてきました。これを更に発展させるために、グロースの先にあるIPO後の支援であったり、M&A後のPMIであったり、より長期でexitとその先まで寄り添っていけるような体制を構築していきたいと思っています。
北尾
マス広告やブランディングにおけるクリエイティブの領域ってもの凄く狭い世界で、当事者の人数も少ないです。その中で、事業規模が小さかったり、派手な打ち出しよりは地道な積み上げが重視されるスタートアップの案件は軽視されがちです。でも、そこに大手企業のノウハウや、プロの技術や一流のスタッフを持ち込んであげることに、スタートアップエコシステムの成長という意味では、価値があると思っています。今、これをやっている人材って自分くらいしかいない気がするので、責任重大です。
中澤
期待しています。ありがとうございました。