
Interview05
伴走型の理想の形。チームとともに成長する「セールスハブ」の成長支援
THE GROWTHの「支援先とあらためてお話」。Saleshub社とは毎週欠かさずチームで定例会議を継続しています。代表の江田さんにTHE GROWTHとの関わりについて、どのような伴走支援が行われているのかなど、お話を伺いました。

株式会社Saleshub 代表取締役
江田 学
Manabu Eda
1991年6月6日生まれ。大学在学中よりスタートアップ企業の立ち上げに参画し、営業部門を担当。過去に自身が営業に従事していた際の経験をヒントに、非効率で精神的にも負担の大きな「新規開拓営業」という課題を「人と人とのつながり」によって解決できないかと考え、顧客紹介サービス「セールスハブ」を開発。国内外の大手企業や上場企業、急成長のスタートアップが利用し、ユーザー数は5万人を突破。50代・60代以上の大手企業の元代表や役員経験者などのベテランビジネスパーソンが中心となり、日本中へ顧客紹介を行なっている。
https://saleshub.jp/テレビCMの前にグロースドライバーの見直しから

北尾:
江田さんとの出会いで言うと、結構、もう、長いですよね?
江田:
かなり長い付き合いになりますね。最初にお会いしたのは、北尾さんがINCUBATE FUNDにいらっしゃった頃ですよね。その頃は、セールスハブのモデルは新しいものであったため、サービスの訴求をどうするのがベストなのか悩んでいたタイミングでした。そこで、GPの和田さんに相談したところ、北尾さんに相談してみてはと紹介いただきました。
北尾:
その時は何度か壁打ちさせてもらっていったん終了し、その後、THE GROWTHの2人での支援という意味でも2年くらい経ちましたかね。
江田:
ちょうどもうすぐ丸2年くらいですね。ちなみに、最初に会った時の印象はいかがでしたか?
北尾:
純粋でまっすぐな人たちだなって思いました。目がキラキラしていて。今でも、それは変わらないかも知れませんね。あと、ポイントはこの「人たち」。もちろん江田さんが社長で決定権もあるけれど、割と複数人で動かれている印象が今もあります。
山代:
江田さん、経営陣含めて社員のみなさんにものすごく好かれていますよね。ちなみにSaleshub社とのお取り組みは、THE GROWTHの支援として理想的なロールモデル的なケースだなと思っています。アジェンダもなくなることなくずっと議論が継続していて。
江田:
本当にありがとうございます。もう会社のグロース(事業成長)に欠かせないお2人です。
北尾:
久々の再会は、テレビCMのご依頼でしたよね。

江田:
そうですね。事業が一定伸びてきて、さらに伸ばしていこうというタイミングで、サポーター側を伸ばすべきか、導入企業側を伸ばすべきかという議論を経て、伸ばすのはサポーター側だ!よし、テレビCMをチャレンジしてみよう!と考え、以前からのつながりもあった北尾さんに相談させていただきました。
山代:
でも、相談を受けて最初に気になったのがビジネスモデルの部分。本当に、サポーターの副業人材が増えれば増えるほど勝手に伸びていくプラットフォームで良いんだっけ?それでテレビCMやって大丈夫かな?と。
江田:
はい、そうでしたね。山代さんにジョインいただいたことで、まずいったんCMを作ろうというプロジェクト自体を止めましたね。我々のビジネスは2サイドプラットフォームだが、サポーターなのか導入企業なのか、どちらが成長のドライバーなのかの部分をもう1回お2人も含めて議論してみようとなりましたね。
山代:
まずCMの議論の前の議論が必要だよねと。
江田:
僕らはGMV(流通取引総額)を伸ばすのに、企業側の商談を取りたいというニーズは強く存在しているから、サポーターが増えれば流通量が増えると考えていました。でも、データをみんなで見直していく中で、これは企業の方を伸ばす方が、よりグロースに寄与するはずだって山代さんがおっしゃって。
北尾:
どういうロジックで企業側だと考えたんでしたっけ?
山代:
導入企業のデータを見ていると、高い成果がでている企業がいる一方で、適切に運用できていなそうな企業も多くありました。サポーターの数が足りないというよりも、運用方法の方に課題がありそうだなと。そこを詰める方がグロースに影響すると思いました。むしろ今の導入企業数に対してはサポーター側の数は十分ではないかと感じましたね。

江田:
そうでしたね。その結果、導入企業へのフォローを厚くすることで適切に運用できる企業を増やすことと、マーケに関してはサポーターではなく企業の方へ投資をするという話になりました。たくさん議論してきた中での結論だったので、チーム全員納得して進むことができました。
山代:
あれは大きい意思決定でした。もし、サポーター側に突き進んでいたら、今の「セールスハブ」とはだいぶ違うことになっていたかも知れません。僕はメルカリにいましたが、2サイドプラットフォームには「鶏と卵」問題が各フェーズで起き続けます。どっちに投資すべきなのか?どっちのCPAを見るべきなのか?とタイミングごとに考える必要があります。
江田:
当時、企業側の獲得はオーガニックでそれなりに流入していました。加えて、自分たちでセールスハブを活用して受注を取ってくることもできていた。でも、その程度に満足せずに企業側の獲得をいっきに伸ばそうと思うと、そこには認知型のマス広告などにチャレンジしなくちゃいけないよねと言う文脈でしたね。
BtoBのCMにタレント起用の是非

北尾:
ターゲットを変えて、メッセージも作り替えて、さぁ、タクシー広告を制作しましょうというタイミングで大きかったなと思うのは、デヴィ夫人の起用ですね。当初は、タレントなしで企画をしていました。でも、このクリエイティブにタレントを入れたらどうなるだろう?という議論が定例会議の中で起きた。
山代:
その頃、我々が支援するBtoBのテレビCMで満足のいく成果がでないことがいくつかありました。北尾さんと反省会をする中で、ノンタレ(タレントを起用しない)に問題があったのではないか?という仮説が生まれていました。多少、無理をしてでもタレントをキャスティングして、サービス内容の詳細よりも、最低限あの人が出ているCMだねとなることが、BtoBにおいては引っ掛かりという意味で大事なのではないかと。
北尾:
もちろんタレントを起用せずともうまくいったケースもあるのですが、BtoBだとメディア投下量もあまり多くないこともあり、タレントさんが展示会などで企業のサインになったりなど、コミュニケーションの核にしやすいなと考えました。そうは言っても、BtoBらしいシュッとした感じでオフィスにいそうなタレントを最初は考えて提案したのですが・・・
江田:
デヴィ夫人なんてどうですか?と(笑)
北尾:
びっくりしたけど、数秒後には「ん?でもあるかも知れないぞ」と思いました。BtoBのタクシーCMが飽和状態にある中で、異質な目立ち方をするかも知れないと。
江田:
自分が1人の消費者になった時に、ちゃんと記憶に残るCMってそんなに多くありません。やるからにはこぎれいに失敗するんじゃなくてフルスイングでやり切りたいと思いました。投資家のみなさんからも、ここでそんなに大きな投資を?という声はありましたが、最終的には納得いただきました。
山代:
生粋の起業家である、江田さんらしいですね。
江田:
僕自身が例えば数字の天才だったりではないので、数字では語りにくいところでプラスアルファをどう作るかというのは意識しているのはあるかもしれません。結果的には、タクシーの中でも目立つことができ、展示会などでも集客人数が明確に変わりました。「タクシー見ました」という声が圧倒的に増えたので、商談の入り方も大きく変わったと営業チームも喜んでいます。

北尾:
そういう意味では、セールスハブをメジャーなものに見せるということに、デヴィ夫人が活きたということですよね。
江田:
事前にお2人がCMにチャレンジするということは、リードを増やすことももちろんだけど、会社の社格を上げるんだという話を繰り返しおっしゃっていて、実際に体験してみて、言ってたのはこういうことか!と。
山代:
ブランディングや社内の士気向上も含めて、副次効果をトータルで回収しにいくのが正解だと思います。回収できたからこそ、契約更新もしたわけで。
江田:
タクシーCM単体でみても効果という意味ではペイできている上に、さまざまな副次効果もあって、やってよかったと思っています。
Saleshub社とTHE GROWTHとのミーティング
北尾:
全然違う話ですが、Saleshub社との定例ミーティングはかなり参加人数が多いですよね。冒頭の話ともつながりますが、それは1つの特徴かなと思っています。
山代:
はじめから今の人数ではなくて、議論を重ねる中で必要なポジションが増えていった歴史でもありますね。Saleshub社側は、10人くらいですよね、今。
江田:
そうですね、変遷の中で今に至る感じですね。当初は、広告周りの話でマーケティング担当が中心で、そこからリードを獲得した後のクロージングが大事になり受注管理へと焦点が移って行った。お2人との取り組みをしていく中で見ていただく部分が、CMを出発点に、次のグロースのためには、営業だ、CSだ、そもそも組織はどうなんだと、どんどん広がっていきましたね。
山代:
確かに、そういう経緯でしたね。

江田:
変遷という意味ではそうなのですが、あの毎週の定例ミーティングは僕らの中で大きな変化がたくさん生まれている重要な場所でもあります。社内としてはこういう戦い方でいこうと思ってたけれど、もっと目線をあげてギアチェンジしたこっちのハイボールで行こうよ!と言っていただける。
これを、現場のメンバーも一緒に参加し、みんなで一緒にその衝撃を受けるのが大事だと思っています。そしてその衝撃を受けたメンバーたちが、スピーカー役になって参加していないメンバーへと伝達していく。僕1人がスピーカーになるよりも、様々な立場のスピーカーがたくさんいることで、社内への波及度が全然違います。なので、Saleshub社のメンバーたちは、毎日の中でお2人が思っている以上に北尾さん、山代さんの名前をたくさん聞いていますよ。
北尾:
我々との定例ミーティングの後に、社内でのミーティングをかならず実施しているんですよね。
江田:
そこまでが一連のルーティンになっています。定例の後に、そのまま社内の参加メンバーで会議を続けます。そこでは、定例で決まった方向性に対して、誰がどういうアクションプランで動くかを明確に決めて、次週の定例まで1週間走り抜く。これはすごく良いサイクルになっているし、メンバーへの刺激になっていると思います。
山代:
我々の視線で言うと、そのミーティングのおかげで、議論したことが翌週にきちんとフォローアップされて出てくるから素晴らしいですよね。Saleshubチームの実行力とコミット力は本当に高いなと、毎週、思っています。
江田:
ありがとうございます。でも、その良さを引き出してくれるのがお2人の存在です。僕、お2人が僕らとのミーティングの中でSaleshub社をさす時に「御社」と言わずに「われわれ」という言葉を使ってくださるのがすごく好きなんです。外部の人という感じがなく、チームの一員と感じられるから。
でも、その上で、外部目線もちゃんと持たれているという特殊な関係性です。ものすごく内部だけど、外部でもあるという両方の側面を持たれている不思議な形。この関係性は、組織面の話などでは物凄く重宝しています。
山代:
と言うと?
江田:
内部に入り過ぎていたらちょっと言いづらかったり言えないことを、良い意味で無邪気に「こうじゃない?こうでしょ」ってばんばん投げてくれますよね。忖度なしと言えば良いですかね。これには「はっとする瞬間」がたくさんあり、THE GROWTHのお2人の独特の立ち位置だなと感じます。これは意識されているんですか?

山代:
そこは明確に意識しています。自分たちを「フレンドリーアウトサイダー」と定義しています。フレンドリーではあるけれど、アウトサイドの人間ではあると。その意味では、外部か内部かで言えばアウトサイドです。でも、我々は外部の人間だからさ、なんて意識はまったくなくて、同じ1つのグロースをチームとして追いかけています。
北尾:
我々のこのポジショニングは、例えばVCに相談するのとはちがう感覚ですか?
江田:
異なりますね。お2人とは週1でミーティングしていて、かつ、営業のKPIなど重要指標についてごりごりディスカッションしています。尚且つ、具体的なネクストアクションまでも一緒に考えて提示いただいており、現場感が非常に強いです。
VCの方々とは、もう少し抽象度の高い話が多くなるのと、議論は取締役会が中心になります。取締役会だと、事前にしっかり準備した資料をベースに説明し、質問いただきながらディスカッションする形です。お2人との議論では、もうまだ何も固まってない部分が中心ですよね。
北尾:
なるほどそれは確かにそうですね、仮に我々がいなかったら、そういった生煮え議論は誰とするのが最適なのでしょうか?社長が1人で考える?
江田:
おそらく、社内で役員陣中心に議論する形以外にはなさそうですね。ただ、それだと社内にはない視点はどうしても得られない。お2人と話していると、ここがマックスだよねって思っていた天井を、一度取り外してみての議論がスタートすることが多くありますが、それは社内だけでは起きにくいと思います。
THE GROWTHの支援スコープ
江田:
今の話をもう少し深掘りさせていただくと「もっと行こうぜ!」「もっと目線あげて!」と言ってくれる方はいても、現場を理解した上で具体的な「じゃあ、どうやって?」までを提示・議論をしてくれる方はなかなかいません。今、改めて思いましたがこの部分が、THE GROWTHの支援のいちばんの価値かも知れません。

山代:
具体も、そんなにはないのはない。商談数を倍にするしかないんじゃないですか?みたいな。でも、それを言ったらちゃんと実行して数字で返ってくる感じがありますよ。
江田:
そうなんですよ。地味なところからもう一回議論に付き合っていただける。
山代:
すごく良い距離感でやらせてもらえていますね。あと、僕が良いなと思っているのが、支援を通して、Saleshub社の中に次々とヒーローが生まれてきますよね。フェーズごとに「ん?この人が頭角を現してきたな」みたいなニューキャラがどんどん出てくる。
江田:
ありますねぇ、そしてこういう話は代表としてとてもうれしいです。さっき話した定例後のミーティングは良い意味でかなり緊張感があり、みんなパリっとした感じで参加しています。なので「来週までにここの分実行できなかったらやばいぞ」とか「俺、やんなくちゃいけない!」という強い意識が生まれる。そして、それが達成できたときの成功体験の「やったぜ!」という感情が、さらにメンバーを引き上げていくイメージです。
北尾:
それってすごいことですね!
江田:
本当にそうなんです。THE GROWTHの支援は、一般的なコンサルティングとは全く別物に感じています。結果的にはアドバイスされているという意味においてコンサルかも知れませんが、お2人もおっしゃっている「伴走パートナー」がいちばん近いですかね。もっと良い言葉がありそうな気もしますが、まだうまく言語化できません。
山代:
おそらく、お付き合いさせてもらう初期の頃は、メインは足元のグロースだったと思います。タクシーCMだ、リード数だ、CPAだ、ファネルの推移の改善だと、極めて足元な話。
北尾:
いわゆるマーケ寄りな話ですよね。
山代:
そう、マーケ寄りかつオペレーションの改善の部分。このあたりはもしかしたらコンサルと近しい部分もあるのかも知れない。でも、2年もご一緒していると、その部分は当然週次でモニターしながらPDCAを回し続けるけれど、もう少し角度を変えた成長を実現するためのレバーをどこに置くかっていう部分に徐々に視点が移っていきますよね。
江田:
その変化が特異なポジションということですかね。

山代:
変化させるために変化球を投げなきゃいけなくなる。例えば以前は営業責任者の石川さんの商談数の受注件数とかを毎週ウォッチしていた。でも、今やそこはもう当たり前にどんどん超えてきて、別に言及する必要もない。そうなると、このまま行けばこうなって、きっとこのくらいまでは行くよねと言うラインが見えてくるが、それは置いておいて角度を変えた成長を実現させたい。だとすると、今、我々に必要なのはどういう1歩なのか?という問いになる。
北尾:
直近で言うと、プライシングは大きな方向転換ですよね。
山代:
まさに。プライシングはすごく難しい意思決定だと思います。正解がないですよね。だからプライシングの議論は、3ヶ月近くかけてやりましたよね。ああいう議論ができるのは、グロース論点として本質的だし大きいことですよね。マーケコンサルの範疇ではない。
北尾:
実際、最近はマーケティングの話、しばらくないですね。

江田:
確かにお2人とご一緒してから大きな当たりがいくつかあって、僕たちも大きくなりました。まずテレビCMやタクシー広告のクリエイティブがあってABMサクセスプランと呼んでいる代行プランの展開があり、そしてプライシング。他にもかなり細かいものまでたくさんあって、これによってセールスハブのビジネスモデルの根幹ができています。感謝しかないです。
北尾:
飲み会でチームのみんなと会っても、THE GROWTH、好かれてるなぁって感じられてうれしいです(笑)
山代:
ワッショイして持ち上げてくれるから、楽しいですよね。お客さん扱いな感じではなくて一緒に盛り上がれるし。展示会とかでブースに顔を出すと「Tシャツ着てください」とか言われるのも、実はうれしいんですよね。仲間として受け入れてもらえているなと。
北尾:
我々も人間なので、チームの一員として迎え入れてもらっている感じ出ると、モチベーション上がっちゃいますよね。信頼関係のもう一歩先の部分にいる感じというか。
江田:
僕もうれしいです。でも、きっとそれは最初の半年くらいの中で、メンバーたちがはっとした瞬間がそれぞれあったんだと思います。しっかり緊張感のあるゴリゴリのミーティングではあるけれど、ちょっとした言葉使いだったり、取り組む姿勢だったりに「この人たち、本気で一緒に事業を伸ばそうとしている!」って。それで信頼関係が醸成されて、気がついたらみんながラブになったみたいな変遷はあると思いますね。本当、これからもずっとよろしくお願いします。
山代:
こちらこそです!

